愛知の麺文化を未来へ語り継ぐ

愛知の麺文化を未来へ語り継ぐ!

名古屋名物 味噌煮込みうどん

 「味噌煮込(みそにこ)みうどん」は、「きしめん」と並んで名古屋めしの代 表的(だいひょうてき)な料理のひとつです。一番の特徴(とくちょう)は、 色の濃(こ)い粘(ねば)りのある味噌汁にかみごたえのある硬(かた)い「う どん」。初めて食べる方はずいぶん驚(おどろ)かれるのではないでしょうか。 味噌仕立ての汁で煮(に)た「うどん」は、全国の各地にある家庭(かてい) 料理です。「味噌煮込みうどん」とよく似た料理で山梨県の「ほうとう」が有 名ですが、「味噌煮込みうどん」も元(もと)をたどれば、この「ほうとう」 が伝わったものではないかとされています。

 家庭料理であった「味噌煮込みうどん」がお店で売られるようになったのは、 明治の初めころに尾張一宮で始まったとされています。 織物(おりもの)工場で働(はたら)いている人たちの昼食が、 それまでの給食ではなく飲食店でとられるように変わっていったことによると思われます。 社会のさまざまな変化によって日常の食事がお店で売られるようになり、特別な時の食事になっていったのでしょう。 明治の終わりころには、一宮のうどん屋さんが名古屋へ出向いて 「味噌煮込みうどん」の講習会(こうしゅうかい)を開きました。 これにより売られる地域が広がり、名古屋を中心とした地域でよく食べられるようになりました。

 「味噌煮込みうどん」は、岡崎地方で作られている豆味噌「八丁味噌(はっちょうみそ)」を使うのが基本です。 色は褐色(かっしょく)に近く、独特(どくとく)の香りと味が特徴です。 お店によって白みそ、みりんなどを加えて味を調整(ちょうせい)します。 愛知の豆味噌は、味噌の元祖(がんそ)とされています。 全国でそれぞれの地域を代表する味噌が作られていますが、 全国の味噌はこの豆味噌をもとに、他の原料(げんりょう)や穀物(こくもつ)を加え、 熟成期間(じゅくせいきかん)を短くするなどの改良がなされたものといわれています。 味噌は、各地の食に関する特徴や土地柄(とちがら)が強く表れる調味料で、 それゆえに地域に根差(ねざ)した味付けといえます。 だしには、この地方特有のムロアジの節が多く使われますが、お店によっては鳥ガラを使うこともあります。

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